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「リモートワークの達人」を読んだ、そして悔しい思いをした

「リモートワークの達人」を読んだ

この本はBasecamp社のジェイソン・フリードと、ディヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン(DHH)が書いた「Remote: Office Not Required」の翻訳で、単行本では「強いチームはオフィスを捨てる: 37シグナルズが考える「働き方革命」」という書名だったものがこの夏に文庫化にあたって改題されたもの。

既に2014年に出版されて散々話題になっていたらしいのだけど、実は全然知らず、つい最近「リモートワークの課題はもう全部この本に書いてあって、DHHたちが通った道だ」と教えていただき、早速買ってみた。


いや、本当に悔しい。

これはコロナ禍以前の、世間でリモートワークがまだ普及していなかった時代に読んでおきたかった。そして前半の導入部を読んで、「そんな上手くいくわけないし、どうせできないよ」なんていうことをしたり顔で言っておきたかった。

そして、このコロナ禍でリモートワークが普及するというパラダイムがシフトする世の中で、「あぁ、自分はなんて先を見通す目が無かったんだろう」と後悔してみたかった。それほど、確かに「全部書いてある」。

特に帯に書かれている「怠けより働きすぎに注意しよう」は思い当たる人がたくさん居るのではないか。


実際に実践できているかは別として、世の中のプラクティスとしてもうリモートワークが有効な選択肢になっているのはどの組織でも変わらなくて、あとはさまざまな制約の中でそれをやるか、やらないか、というフェーズになっているのではないか。

そうゆう意味では前半の「リモートワークの誤解を解く」あたりまでは流し読みで十分になってしまったと言える。もうパラダイムは変わった。

今更「オブジェクト指向プログラミングという考え方があって、ある問題領域においては非常に有効です」みたいなことを再度説明されているような気分になるだけだ。

だけど、中盤からの「リモートワークのコラボレーション術」「リモートワークの落とし穴」「リモート時代の人材採用」「リモート時代のマネジメント」は、今だからこそ、前半の導入が分かっているからこそ、有益な、実践すべきポイントが揃っている…揃いすぎている。

特に、「リモート時代の人材採用」に書かれている…

  • "リモートワーカーは人柄が大事"に書かれている「割れ窓理論の精神でやったほうがいい」
  • "仕事ひとすじの社員はいらない"に書かれている「スマートな問題解決や最新のデザインは、技術と人生の交わるところに生まれる」
  • "地域で賃金を差別をしない"に書かれている「田舎に住んでいるからといって、その人の価値が下がるわけじゃない」

あたりは、「なるほどー」という感想しか出てこなかった。

また、「リモート時代のマネジメント」には、オープンソースの例が出てくる。さすがRuby on Railsの作者のDHHが書いているのだから、説得力がある。反論のしようが無い。「オープンソースから学ぼう」と書かれている。確かに自分も少しばかり関わっているプロジェクトはある。学ぶことはできていて、実践するだけだったんだと気づかせてくれる。

最後の「リモートワーカーの仕事のスタイル」には気分の切り替え方など、さまざまなtipsが載っている。あとはやるだけだ。


というわけで、リモートワークをやっていく上で今からでも遅くないので、読みましょう、お勧めです。

同時に買った「小さなチーム、大きな仕事」はこの後に読む。

それが読み終わったら「NO HARD WORK」を読もうと思っている。