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『エンジニアリングマネージャーのしごと ―チームが必要とするマネージャーになる方法』を読むときに、最初に読んだ方がいいこと、実践すべきこと

普通に良い本だなー。あんまり『エンジニアリング』というタイトルにこだわる必要も無くて(シチュエーションを説明する用語が、エンジニアリング・マネージャーに合わせてある、というだけなので)、専任のマネージャー職に初めて挑戦する時にざっと読んでおくと、心構えができる1冊ですね。

すべてを完璧にこなしている人はきっといないと思うけど、上手く立ち回っているマネージャーを観察していると、「あー確かにやっているー」という要素がたくさん有って、拾い読みしておいて何か一つだけでも「これだけ気をつけてみるか」と思えれば買った価値も十分に有ると言えるでしょう。

特に2章「まず自分を管理しよう」の章に紹介されている「カレンダー」「ToDoリスト」「メール」のあたりは、自分でもやっていることに近くて(特にメールはほぼそのままだった)、非常に納得感がありますね。常に自分の関心を置く領域を狭めて、気持ちがあっちに行ったり、こっちに行ったりさせない、というのは大事なテクニックです。


あとは、3.2「委譲」がめちゃめちゃ素晴らしい言語化がされていて、ここを読むだけでも本書の価値は十分にあると言えます。

3.2.2「説明責任は委譲できない」には、こう書かれています。

・タスクに説明責任があるとは、タスクを求められる品質で完了させる責任を持つということです。

・タスクに実行責任があるとは、タスクを実際に自分で行うということです。

これ、理解できていますか?実践できていますか?

いつの間にか実行責任と、説明責任の両方を、ぶん投げていませんか?

説明責任を果たすため、報告が必要だからといって、単に配下メンバへ「あの情報を出せ、この情報を出せ」と結局丸投げしていませんか?

「俺は聞いてない!」「なぜ情報が集まらないんだ!説明できないぞ!」とか言ってませんか、どうですか等、ここを読むだけで、ヤバい汗が出てきそうなくらい良い言語化です。

逆に言えば、本当の意味での「説明責任」が果たせていれば、マネージャーの仕事のかなりの部分が終わっている、とも言えるかもしれませんね。ほんと、この章は必読だし、絶対に実践していくことをおすすめするポイントです。


本書、分量もあるし、けっこう細かい方法論や、手順的な話も多いので、全てがこの本の通りに行く訳もないし、やるべきでもないですが、随所に出てくる「視点」や、「考え方」は、常に念頭においておくと良いことばかりなので、まずは欲張らずに、一つでもやれるところからやっていけばいいな、と思います。

とにかく、「情報を収集して、考えて、判断して、行動しよう」という話に尽きるんですけどね!