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いつもコードのことばかり考えている人のために。

『基礎からの新しいストレージ入門』は、書名のとおりの基礎がわかる1冊

ストレージというキーワードを聞いて思い浮かべる技術は、人それぞれ結構分かれると思います。

アプリケーションレイヤーから見ると、「何かデータが溜まっている場所」くらいの認識だし、クラウドが普及してきたことでシビアに残容量を気にしながら使うとかもなくなってきた(お金以外)。

そんなだんだんとその存在を気にしなくなっていくストレージに対して改めて基礎から入門できるのが『基礎からの新しいストレージ入門』です。

代表的なストレージの3つの種類……

  • ブロックストレージ
  • ファイルストレージ
  • オブジェクトストレージ

に分けて、それぞれの基本的なハードウェア構成、ソフトウェア構成、アクセス方式、特性を淡々と、特定の製品に依らずに解説されています。

ブロックストレージをどのくらいの抽象度で外部に公開していくのか?その感覚が掴めて、「でも結局、このインタフェースの先にはブロックストレージがあるんだよなー」という感覚が掴めれば、この本を読んだ価値がある、というものではないでしょうか。

あと、「第5章ストレージ管理と設計」が特に良くて、ここに出てくるキーワード(特にバックアップと監視)はしっかりと押さえておきたいですね。

バックアップも、監視も、膨大な先人たちの知恵の元に出来上がっているプラクティスなので、たいていの「いいことかんがえた」は、「いいこと」ではないのです。


特定のファイルシステムの解説も無いので、これだけで実践的なストレージの管理ができるようになるわけではないですが、イラストが工夫されていて、ビジュアル的な分かりやすさが配慮されているところも良いところです。

ところで、ストレージのアイコン、いつまで3層の円柱のままなんでしょうね。

既に何かすら分からないものが、「保存」のアイコンがフロッピーディスクのままになっている以上に当たり前に使われていて謎ですね。


それなりの経験値が溜まっている人は、この本を読んで新しい知識を獲得することはあまり無いと思いますが、体系化された「説明の仕方」を学ぶには非常に良い本だし、リファレンスとして手元に置いておきたい1冊です。