技術書典15、あまり内容をチェックしていなかったので、行く予定を入れていなかったのですが、941さんが執筆に参加したカンファレンスの運営本が出品されていて、しかも会場しか紙版は入手できないと分かって、急遽時間を作って現地で入手しました
しかも、事前にページ数を知らないで現地に着いたので、「所謂”薄い本”じゃないの?」とその場で驚愕した、なんと200ページ超え!
11月26日までオンラインで電子書籍版は入手できるそうです、まだ入手していない人は、ハリーアップ!
自分でも9年ほど吉祥寺.pmという50人規模の勉強会を定期開催したり、YAPC::Tokyo 2019にスタッフ参加したりと、イベント開催にはそれなりの経験があるほうだと思っています。
が、ここまで圧巻の物量で、あらゆる要素に対するポイントが網羅されていると、「なるほどなー、これは考えたことも無かった」「これをこう言語化するのかー」とたくさんの学びがありました。言語化、大事ですね。
特に、準備を進めるにあたって起きえるトラブル、当日発生するトラブル事例が充実しているのが、めちゃめちゃ価値ありです。当然、イベントは準備が8割なので、企画を考え、実現に向けてどんなステークホルダーを巻き込むか、当日までにどんな準備をすべきか、ということにページの大半が使われています。1,000人規模のカンファレンス、こんなに考えることがあるのか!と運営に参加していた自分ですら驚いてしまいます。特に、「参加者の受付設計」は小規模なイベントには小規模なりの悩みがあり、大規模なイベントには大規模なりの悩みが有って、なかなか難しいのですが、けっこうイベントの成否の中で受付時の印象って残るものなので大事なので、「そうだよなー」って読んでました。
たとえば、「電源確保」あたりは会場に有るPCの量が多いテックカンファレンスでは必須のチェック項目ですね。
全編にわたって、カンファレンス運営というさまざまな人が関わる営みにおける気遣い、配慮、先回り、感謝が溢れています。これがすぐに真似できるものでもないし、中には100人を超えるようなカンファレンスじゃないと関係ない、といえることも多いですが、感覚的には20人〜30人規模の、「ちょっと一人だと手に余るくらいの規模」のイベントをやる上では絶対にチェックしておいた方がいい内容ばかりだと思います。
最後に、「昨今の事情による著者見解」という一枚の差し込みが有ったのも良くて、最後まで気配りだなーと。
というわけで…
- カンファレンスをまだやったことないけど、開催に興味がある人 →今すぐゲットして備える!
- カンファレンス開催に一定の経験が有る人 →今すぐゲットして自分の観点に漏れがないか確認する!
- カンファレンスに参加経験の有る人 →今すぐゲットして、イベント開催の裏側を知ってより楽しむ準備をする!
- カンファレンスに参加も開催もしたことが無い人 →とりあえずゲットしておいて未来に備えよう!
ほんと商業出版でも全然通用するレベルですね、絶対に入手できるうちに入手した方がいいですよ!
ちなみに吉祥寺.pmの運営に関するスタイルは、コロナ禍前ですが、以下のようにレポートいただいたことがあります。
こんな形でまとめていただくと自分でも意識せずに運営の工夫をやっていたんだなーと思い出しましたが、運営として工夫すべきところ、気を遣うべきところはありますが、一方でイベント運営自体が本業ではないので、そこはいかに省力化を図っていくか?というのも大事なポイントなんですよね。色々な意味で継続性が有って、燃え尽きないようなやり方、仕組みが大事です。
この本に書かれていることは、めちゃめちゃ参考になりますが、一方で「自分にとっての運営のやり易さ」と、「参加者の満足度」のバランスはきちんと見極めていかないといけないなーとも思いました。