先日、人との会話の中で、「Affordable Loss(許容可能な損失)」という言葉が出てきた。全然知らない単語だったので、なんだっけ?と思って調べてみると、「エフェクチュエーション」という理論の中に出てくる用語だということが分かった。
「エフェクチュエーション」に関する本を検索してみると、なかなか分厚い、読むのに苦労しそうな本ばかり出てくるのだけど、去年『エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』という入門書が出ていることを知って購入。
冒頭に書かれていることをそのまま引用すると、「エフェクチュエーション」とは、”熟達した起業家に対する意思決定実験から発見された、高い不確実性に対して予測ではなく、コントロールによって対処する思考様式”とあります。
当然、この考え方の通りにやれば成功するという方法論ではないのですが、自分が行動を起こすときの前提を変えるきっかけにはなる理論と言えます。
その理論を構成する5つの原則は、以下のように命名されています。
一見すると何のことだか分からないところがいいですね。具体的な内容は解説されているサイトや、本を読んでみてください。
エフェクチュエーションに対応する、反対の考え方は「コーゼーション」と定義されていて、事前に目標を定め、それに合わせて成功確率を上げるための計画、戦略を定め、必要な資源を確保し、実行に移し、計画通りに実行されていることをモニタリングしながら、当初目標を達成することを目指します。
そして、エフェクチュエーションは、その逆で、手持ちのリソースと、状況に合わせて、素早く行動していこう、という考え方になっています。
つまり、アジャイルと、ウォーターフォールの対比に似ていると感じました。
具体的な方法論は全然異なりますが、結果とそのフィードバックに重点を置くのか、計画/予測に重点を置くのか、という対比は極めて、アジャイルとウォーターフォール的だなと思いました。
この本では、エフェクチュエーションと、コーゼーションのどっちが優れている、どちらを採用すべき、どちらか一つしか採用できない、みたいなことは当然書いてなくて、不確実な状況が減れば、当初はエフェクチュエーション的なやり方からコーゼーション的なやり方に変わっていくよね、ということも書かれています。
それはそう。
極端な思考の両端を理解/経験することで、手持ちのカードを増やし、適応できる状況を増やしていくことが、我々にできることじゃないかと。
コーゼーションに振った組織の振る舞いでも階層を変えていくと全然エフェクチュエーション的な考えで運営されていたりしますしね。