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『理科系の作文技術』を久しぶりに読み返し、とにかく「6 はっきり言い切る姿勢」「7 事実と意見」だけは絶対にみんな読んだ方がよい、と思った

いまさら紹介するまでもないけど、とりあえず作文方法を学びたい時は、まずはこの「理科系の作文技術」を読むことをお勧めする。

最近ブログのエントリをざっと書いてそのまま公開してしまうことが多かったので、少し反省し、それを直すためにこの本を改めて読み直した。そうしたら、タイトルで全部言い切っているのだけど、とにかく「6 はっきり言い切る姿勢」「7 事実と意見」だけは絶対にみんな読んだ方がよい、と思った。


日常的にメールや、ブログの記事など、それなりの量の文章を書くことが多いけど、論文や雑誌の記事など、きちんと他人の目を通した上で公開される文章を書くことは、まずない。一度だけ、雑誌の記事原稿を書いたとき、自分なりにかなりの推敲を重ねたつもりでも、プロの編集の方から見れば言葉使いや、言い回しなど、たくさんの指摘をいただいた。おかげで、普段自分が書いている文章にフィードバックすることができ、少しはレベルが上がったと思う。

その時にも、やはり読み返したのがこの『理科系の作文技術』だった。過去に何度か、いろいろな人からこの本を紹介されることが有り、その度に読み返している。


『理科系の作文技術』は、タイトルに『理科系の』とついてはいるが、必ずしも論文のようなアカデミアで書かれる文章だけでなく、ビジネスの報告書でも使えるポイントが多数解説されている。

前半の「2 準備作業(立案)」や、「3 文章の組み立て」あたりは、ビジネスで書く文書は、量もそこまで多くなく、そもそも書く目的や、内容がある程度決まっているので、論文や、本の執筆のように「そもそも何を書くか」「どのように材料を集めるか」というところから出発することは少ないので、ちょっと退屈というか、そんな大作は書かないし……という気分になるのだけど、そのまま読み進めていって「6 はっきり言い切る姿勢」「7 事実と意見」に差し掛かると、普遍的で、とても重要なことが書かれているので、まずはここを読むことをお勧めする。

6 はっきり言い切る姿勢

報告文書だったり、ソフトウェアの解説ドキュメントなど、本来「相手に正しく理解してもらう」「理解してもらった上で何らかの行動・意思決定を促す」ための文書において、結論があいまいなことを書かれても読む方は困ってしまうが、意外とそのような書き方になっている文書は多い。「結論はどこだっけ?」というのは、レビューで言ったことも、言われてこともたくさん有るはずだ。

本書では欧米と日本の比較、日本人の心理的な傾向からはっきりと名言しない傾向が有るころを解説している。

最後の方にこう書かれている。

私たちは,無意識のうちにぼかしたことばを濫用する習癖をもっている.仕事の文書のなかでは,「ほぼ」,「約」,「ほど」,「くらい」,「たぶん」,「ような」,「らしい」,……の類をできるだけ削ることも大切な心得の一つだ.

確かにこれだけでも気をつけると大きく変わる。

また、英語の「ステート」が“明確に表明する”という意味であり、それに類する言葉が日本語にないことも触れられていて、最後は“ステートするときには当然,一句一句に責任がともなうのである.”と締められていて、改めて文書を書くときの姿勢について考えさせられた。

7 事実と意見

意外と、”事実”と、”意見”が混在し、きちんと分離されていない文章は多い。報告書のレビューなどで「まず事実はどれ?」と聞かれたり、聞いたりしたことはよく有るのでないか。

本書では「意見」は幅広い概念で、その中には、「推論」「判断」「意見」「確信」「理論」が含まれるとしている。確かに意外と広く、そのような観点で見返すと、自分が書いた文章が「事実」と「意見」を適切に分離しているか、客観的にみることができる。

また、色々な例を持って、事実と意見を分離して書く方法が解説されている。

事実と、意見は、自分の中では区別されていても、いざ文章として書こうとすると混ざりがちなので、まずは一度メモなどに書き出すなどして、最初から分離する工夫をしないとすぐに混ざってしまうので、気をつけたい。

おわりに

どんな文章も一気に書いて、振り返りもしなければ、必ずよく分からない文章になってしまうので、自分でも常に以下のような工夫をしている。

  • 想定する読者の気持ちになって読み直す
  • 声に出して全部読んでみる
  • 紙に印刷し、別の部屋で読む(環境を変える)
  • 赤ペンを持ちながら読み、読み終わったところはチェックする

ただ、改めてそもそも書く前の準備や、書き方の姿勢といったところから見直していきたいと思った。

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